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学校教育について

参考:教員人材センター

教員志望者、もしくはすでに教員である、という方でしたら、「インクルーシブ教育」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。インクルーシブ教育とは、障害のある子どもたちを通常学級に在籍させ、障害のない子どもたちと同様に教育・指導するものです。しかし、ただ同じように指導するだけではインクルーシブ教育とは呼べません。

この教育は、「授業に参加している充実感」を子どもたちに与えなければ意味がないのです。

障害のある子どもたちへこれまで行われてきたものとは異なる教育なので、教員志望者や現役教員の方、教員への転職希望者は、知識としてしっかりと身につけてほしいと思います。そしてこの教育に携わることはとても有意義な経験になると思います。

そんなインクルーシブ教育について少しだけ深掘りしてみます。

学校教育について: 概要

歴史

明治時代以前では、障害のある子どもは教育の対象外とされており、十分な教育を受けられる環境ではありませんでした。障害のある子どもたちにも教育が必要だとされたのは、明治時代以降です。昭和時代の終わりには養護学校の義務化により、それまで就学が免除されていた重度の障害を持つ子どもたちへも教育が行われるようになります。

また、軽度の障害であれば地域の学校に通うことができましたが、教室は他の子どもたちとは別の場所に設けられることが一般的でした。


障害のある子どもたちへは、障害のある子どもたちに合わせた教育を、それ以外の子どもたちには通常授業を、という考え方だったのです

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学校教育について: テキスト

インクルーシブ教育

インクルーシブ教育とは、これまでの「障害のある子どもたちと、それ以外の子どもたちとを隔てて教育する」という概念を覆す教育方法で、2006年の国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」で示されたものです。障害のある子どもも、ない子どもも、共に教育を受けることで、「共生社会」の実現を目指しています。

子どもたちの多様性を尊重し、障害のある子どもが精神的にも、身体的にも最大限まで発達できるよう、また、社会に他の子どもと変わらず参加できるように支援していく教育方針です。

重要なのは、それぞれの子どもたちが授業内容を理解し、「授業に参加している、ついていけている」という実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごせること、という点にあるでしょう。

いくら障害のある子どもたちを通常学級に在籍させても、その子どもたちが授業を理解できず、孤立感を抱いてしまってはまったく意味がないのです。

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学校教育について: テキスト
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メリット・デメリット

どういった教育にも共通して言えることですが、インクルーシブ教育にも、メリットとデメリットが存在します。それぞれを確認し、インクルーシブ教育への理解を深めましょう。


インクルーシブ教育のメリット

・教員の立場からのインクルーシブ教育のメリットは、「子どもたちの多様性に触れ、教育スキルが身につきやすい」といったこと、また、「療育の知識が身につく」といったことも挙げられるでしょう。

・障害を持つ子供たちが得られるメリットは、「今まで受けられなかった教育が受けられる」「自分が生活する地域の学校に通うことができる」など。

・周囲の子どもたちが得られるメリットは、「障害のある子と接することで、共生社会への理解を深められる」などが挙げられます。

どの立場であってもメリットはあり、特に教員は通常の教育だけを経験するのみよりも、教育者としての考え方の幅が広がる可能性が大いにあります。


インクルーシブ教育のデメリット

まずは教員の立場から挙げていきましょう。
・障害のある子どもを通常の教室で他の子どもと同じように指導するわけですから、当然「授業に遅延が発生する場合がある」「障害のある子どもへの合理的配慮をどこまで行うかを思索しなければならない」「配慮した結果、業務が増える可能性がある」などが挙げられます。

・障害のある子どもたちにとっては「理解のない子どもによるいじめの被害」などが懸念されるでしょう。特に中学生は思春期を迎えることもあり、いじめが発生しないとは言い切れません。

・周囲の子どもたちにおけるデメリットは、「障害のある子どもたちに合わせて、授業が遅れる場合がある」といったことではないでしょうか。高校受験などを控えている場合は、このことを危惧する生徒も存在する可能性はあります。

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日本におけるインクルーシブ教育

デメリットは存在するものの、人間が公平に生きていくための重要な教育であるインクルーシブ教育、

日本ではどのような広まりを見せているのでしょうか。

インクルーシブ教育は、1990年代からアメリカなどを中心に広まった教育理念であり、1994年の特別ニーズ教育に関するサラマンカ声明において、この教育理念を持つ学校の在り方が提起されました。

それによって、徐々に国際的な市民権を得て、2012年には日本においても文部科学省によって「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」が明示されたのです。

※参考:文部科学省

インクルーシブを意識する都道府県は多く、一例ですが、千葉県や神奈川県などは、県のホームページに「インクルーシブ教育の推進について」や、「インクルーシブ教育システム研修会」などの情報が掲載されています。


インクルーシブ教育校を理解した教員になろう

インクルーシブ教育とは、これまでの「障害のある子どもたちと、それ以外の子どもたちとを隔てて教育する」という概念を覆す教育方法だということを説明しました。障害のある子どもも、ない子どもも、共に教育を受けることで、「共生社会」の実現を目指しています。

障害のある子どもたちを通常学級に在籍させても、その子どもたちが授業を理解できず、孤立感を抱いてしまってはまったく意味がありません。
それぞれの子どもたちが授業内容を理解し、「授業に参加している、ついていけている」という実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごせることが重要なのです。

また、近い言葉として「ノーマライゼーション」「インテグレーション教育」との違いについても理解しておくといいでしょう。

以上、ほんの少しの深堀でした

(^^)

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©2022 by インクルーシブ教育を推進する会。Wix.com で作成されました。

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